
マイクさん
「尊厳死協会の詐欺紛い」には笑ってしまいました。
でもちょっと考えてしまいました。ぼくらを取り巻く環境の中で、そういうことってたくさんあるんじゃないかって。
中でもいちばんの詐欺紛いは、医療費総額制度ってやつじゃないですかね。疾病によって医療費がどれくらいかかるか患者にわかりやすくするために、ですって。でもこれ、患者個別の症状に合わせた医療をというんじゃなくて、医療費を抑える目的で導入された制度ですよね。ぼくの経験でいうと、患者は手首にバーコードを巻かれ、何かあるたびにスキャンされる。どれだけ医療費がかかっているかすぐにわかるように。で、決められた総額を超えることはできない。
ぼくの大腸がんの場合、手術から退院まで6日間でした。
なんだ、ぼくの病気はそんなもんなんだと軽く考えちゃいました。6日間で普通の生活に戻れて、すぐに社会復帰(笑)して、仕事にも戻れるんだと。甘かったです。入院6日間で、ぼくにかけられる医療費は上限に届くんですよね。知人の医者が教えてくれました。「6日で退院させられたと言ったほうがいいかもね」って。あとは自宅療養しなさいってことですよね。
ぼくは抗がん剤治療も在宅、通院でしましたから、退院後の方が大変でした。6日間というのは手術でできた傷が治るだけで、体力が回復して普通の生活に戻るというわけではないのです。それでも6日で退院させる。それ以上の医療費はかけられないということなんでしょうね。患者のためではないのですよ。ぼくらはいざという時のために、社会保険や国民健康保険で高い保険料を払っているのに……、って感じです。
マイクさんも、難病中の難病だと言われるALSの患者さんなのに、入院し続けたいのに入院できないのは、そんなことが背景にあるのかもしれませんね。在宅で療養するにも、今度は介護保険制度というおかしな制度が待っていますしね。これまた高い介護保険料を払っても、こちらが望む介護を受けられるわけではない。必要な介護はこの程度だからあとは自分でなんとかねって言われてんですよね。
でも、介護保険の発端は、家族の負担を減らして社会で介護の負担を共有するってことじゃなかったかと記憶しています。これもやっぱり財政の問題で、制限を加えようという方向に進んでいますね。「自助自立」っていうんですか。なんのための介護保険なんでしょうねえ。真面目にじっくり考えてみると、なんだかよくわからなくなってしまいますね。マイクさんの療養生活に対する不安も、こういうところから出てくるんでしょうね。お察しいたします。どうやらこういう制度を決める、国民の代表者であるはずの政治家たちが、「色々な場面で臭いものに蓋をし、我関せずの保身主義自己中ばかり」なのかもしれませんね。
ぼくが鹿児島でやっている「妄想ラジオ」的に言うと、バカばっかり、ということになります(笑)