マイクさん
死にたい願望たっぷりのマイクさんが、置き去りにされかけた注射針を、仕事は腕よりも愛嬌かと笑ってすまそうとするところに、マイクさんが元気になってきた様子がうかがえて、なんかうれしくなりました。
リルテックやラジカットの治療は、治験という観点から見れば、たとえ効かなくても、なぜ効く、なぜ効かないの解明のためのデータ蓄積と考えれば、それがたとえマイクさんに間に合わなくても今後のALS治療方法確率のためにも有益なんじゃないでしょうか。うまくいくことだけが治療ではなく、うまくいかない理由を突きとめることも治療だとぼくは思っています。
たとえば、ぼくの仕事は「取材」が大切な要素になります。だけど取材対象となる人から拒絶されて取材自体ができないこともあります。そんな時、ぼくは取材できなかった、拒絶された理由や、相手の心の内を考えることにしています。会えなかったけど、そういう意味での取材は可能なのです。そうやって考えることが大切なんだと思いながら。「ー(マイナス)」を「+(プラス)」に転じるわけです。
藁をもすがる気持ちはないとマイクさんは言います。しかし、死ぬのも難しい世の中だし、死にたいほどの疼痛もタブレットの前では完全に忘れられるとも。じゃあもう少し生きてみましょうか。死ぬことを考えながら、もう少し生きましょう。まさに
ENJOY DEATH
の本領発揮ですよ。