こうやってぼくは生きていく

久しぶりに京都の病院にマイクさんを訪ねた。胃ろうで薬を注入中!

マイクさん

久々にお顔を見ることができて、よかったし、うれしかったです。表情は明るく、本来なら「お元気そうで」と言いたいところですが、病気のことを思うと全く元気ではないわけで、ぼくなら「がん以外は元気です」などと冗談にもできるのですが、そこがALSの厄介なところですね。ありのままだと理解すればすむことですが、う〜〜〜ん、なんとお声をかけていいかわからないというのが正直な気持ちでした。

その日の京都新聞夕刊に〈ガンの10年後存命率が向上した〉という記事が掲載されました。それによると、

〈国立がん研究センターなどは17日、2003~06年にがんと診断された人の10年後の生存率を発表した。大腸や胃などがん全体で57・2%で、昨年調査した02~05年(56・4%)より0・8ポイント改善した。部位別では、前立腺は100%に近かったが、膵臓(すいぞう)は5・3%で最も低かった〉

というのです。
この数字というやつは厄介です。確かにがん患者にはひとつの希望になるかも知れません。だけど、逆も言えるわけで、全体で43%の人は10年を待たずに亡くなっているわけです。その逆をどう見るかと言えば、やはり不安だとしか言いようがありません。この「不安」に打ち勝てない限り、がんという病を克服できないなとも思います。

じゃあどうすればいいのか。やはり前を向いて生きていくしかないのでしょう。いろいろあっても前を向き続ける。そのことを支えてくれるのは、ぼくの場合仕事を続ける、書き続ける撮り続ける動き続ける日常を忘れないことだと思っています。どんな状況になってもこの日常だけは変えない。手放さない。そう思っています。

もちろん、思ったように捗らなくなるでしょう。人の手も借りないと何もできなくなるでしょう。やりたいことの半分も、いえわずかのことしかできないかも知れません。それでもやり続けたいと思います。
ぼくもマイクさん同様、せっかちです。だからマイクさんが「『伝の心』はダメだ」と言われていたことに、多分ぼくもそうだろうなと納得しました。でもどうだろう。もし手が動かなくなって、声が出なくなったら……。右手がダメなら左手で、両手がダメなら足にペンをつけて、足もダメになったら口に咥えてでも、それもできなくなったらまた他の方法を!
そうやってでも書き続けたいと思います。

そんなふうにやって、絶対に前を向き続けるんだと心に決めています。
実は今日は朝から全身がだるくて、どうにもこうにもならない状態でしたが、こうやってパソコンに向かって文章を書いていると少々元気になってきました。こうやってぼくは生きていくのだと思っています。

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