
マイクさん
明けましておめでとうございます。
ぼくは別にお正月だからと言って、何か特別のことを感じたり思ったりするような人ではありませんでした。少々ニヒルな言い方をすれば、ただの1日の移り変わりくらいにしか思えず、世間はどうしてそんなに大騒ぎするんだって感じでした。だって、酒なら毎日飲んでるし、頭の中は毎日がおめでたいですから(笑)
そう〈感じだった〉っていう過去形なのです。お察しの通り、がんという病を得てからそれが変わっちゃったのです。正月というのは生きていくためのマイルストーンなったかなという感じです。がんではよく「5年後の存命率」などということを言います。ぼくも大腸がんを手術して、5年再発がなければまず大丈夫ですよと言われて、経過観察という定期的な検査を受けてきました。そういう中で重ねていく毎日は、それ以前の毎日の経過とは明らかに違う意味を持つし、その集積としての年の移り変わりが大きな意味を持つというのは当たり前のことですね。
ぼくは手術以降1日1日を数えて生きるようになりました。
術後すぐの1回目のお正月は、抗がん剤治療開始を目前にして極度に緊張したものでした。2回目は、直前の検査で肝臓に白い影が出ていると指摘され、精密検査の結果悪性のものじゃないと診断され、胸をなでおろしたお正月でした。そして今年の正月は3回目ですが、ご存知の通り去年の夏に前立腺がんが見つかりその治療を待つという緊張状態の中にあります。ぼくの5年はもろくも更新されてしまったのです。
ですからぼくにとってのお正月は、とりあえずここまで生きてこれたというマイルストーンなのです。ですから、あと何回お正月を迎えることができるかなどという受け身ではなく、あと何度もお正月を迎えて、生きてこれたという喜びを「おめでとう」という言葉に変えて祝いたいと思います。
そうお正月という新しい日は、ぼくにとってぼく自身の命を祝福する日になったのです。
今年もぼくはぼく自身に、心の底から言いました。
「おめでとう! 新しい日々を楽しもう! 生きてこれてありがとう」と。
そうしてマイクさんにも
「おめでとうございます! 新しい日々を楽しみましょう!」
と。
追伸
ENJOY DEATH prat2、いろんな画像、動画を見るにつけ、現場にいてこの目で見られなかったことが残念んでなりません。part3の企画をお願いしたいと、切にそう願います。