ええ、諦めません

マイクさん

〈10月頃から文字盤なしでは伝わらないのです。でも喋りたい。踊りたい〉

ぼくはこのひと言に心を鷲掴みにされました。そうですよね。文字盤を使って伝えることができても、やっぱり喋りたいですよね、語りたいですよね。身体が動かしづらくなっても、踊りたいですよね。それが難しくなって、人ってはじめて気がつくんですよね。だからぼくはまだマイクさんの辛さや、その裏返しの「したい」と言う熱い想いをほんとうの意味ではわかっていないと思いました。
そんな思いで、

〈准看護師かもの男の方が身体拭きに回ってくれるのですが、マイクの言葉が理解できず、マイクが手真似で話すのはいいのですが、彼まで喋るより手真似ばかりになって、二人とも聾唖者かのような会話風景になっています。彼の真剣さを見ると笑えてくるのですが、あなたは普通に話してと言いたいのですが簡単には伝わらないので諦めています〉

この行を読んでふふふと笑ってしまいましたが、そのあとハッとさせられました。彼は言葉の出ないマイクさんにほんとうの意味で寄り添おうとしているのじゃないかって。もっともっと、もっと話してって、自分も身体を使って表現しているんじゃないかって。「ボディ・ランゲージ」ですよね。身振り手振り顔の表情すべてが言葉になり、意思の表現になるのですね。音はなく静かだけど、熱い会話だなと思いました。

だからマイクさん、伝えることを諦めないでくださいね。何があろうと、伝えることを諦めないでください。

29日にもとの宇多野病院に戻られて、きっと歓迎の嵐だったんでしょうねえ。きっといっぱいの「お帰りなさい」を聞かれたことだと思います。病院にお帰りなさいだなんってって思う人もいるかもしれませんが、ぼくはそこがマイクさんの居場所の1つになっていることをいいことだと思っています。逆境を自分のものにする。逆境を楽しむ。それこそがスーパーALSだと思います。ぼくもスーパーがん患者になりたいと思っています。

〈「地域医療・介護確保法2014」に基づいて、医療費抑制のために打ち出した「地域医療構想」として ベッド数を減らすべく全国の公的1455病院の内、名指しで全国424非効率病院を公表したのです〉

これ、頭にきますね。人の命のことなんて、何も考えてない。国の予算の使い方にまで効率アップと収益アップを物差しにして……。でもそれが自分の暮らしている、生きている国の現実なのだと思うと、怒りを通り越して失望とか諦めとか、そんな思いになって、そんな思いになっている自分がまたいやになります。この国の人は、なんで怒らないんだろう。みんな平気なのかなぁ〜。

でもぼくは諦めませんよ。ずっと発信し続けたいと思います。ずっと怒り続けて、その怒りをずっと発信し続けたいと思います。ぼくやマイクさんのためはもちろんだけど、この国で生き続けたいと思うすべての人のためにも。ええ、諦めません。

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